第7章 夏休みといえば
夏油くんは更に大きなため息をついた。
「あのねぇ、悟。寧々ちゃんはもっと厄介な男に絡まれてたんだよ。悟が傍にいなくてどうするんだい?」
その口ぶりは彼氏が彼女を守ってやれと言っているようなもの。
「マジかよ…、やっぱ連れてきゃ良かったな。寧々ごめん。それとサンキュー傑、これお礼」
分かってはいた、分かり切ってはいたけど…五条くんの手にはこれでもかと言うほどの甘味があった。
「悟、買い過ぎだよ。こんなに沢山買い集めてどうする」
「食うんだよ、寧々が。別腹なんだとよ」
「こっ、こんなに沢山は食べないわよ!!」
物理的に無理な量を買ってきておいて、しれっと言えることではないと思うのだけど。
「はい寧々、もっとそっち行って」
元々はベンチの真ん中近くに座っていた私に、五条くんは端に行くように促した。
私 五条くん 夏油くん の並びでベンチに腰を下ろして、五条くんの買い過ぎたものの消費が始まる。
「かき氷はサッパリしていて口直しにはいいわね。甘くて美味しいわ」
「そうだね。少しずつ食べるとかき氷でも頭が痛くならないよ」
「ーーっ、いってぇ…」
「「馬鹿」」
夏油くんの助言を聞き流して、かき氷をバクバクと口に放り込むからよ。