第14章 鋼の錬金術師
その後、ホークアイ中尉に汽車の切符を買いに行くように勧められた。
たぶん、これ以上酔っぱらい軍人の姿をオレに見せたくなかったからだと思う。
オレも、これ以上相手にできないと思っていたから助かった。
「見送り、できなくてごめんなさいね」
「いいよ。そんなもん」
「じゃあ、またね。エドワードくん」
「いろいろありがとう!ホークアイ中尉!!」
急げば夕方にリゼンブールに着く汽車に間に合う!
大きく手を振って、オレは駅へと走った。
リゼンブールに着き、アルとウィンリィ、ばっちゃんに銀時計を見せた。
アルとウィンリィは喜んでくれたけど、ばっちゃんはどこか複雑そうな表情をしていた。
「自分で決めた事なんだろ?」
「うん」
「じゃあ、何も言わんよ。わたしゃ」
「うん。ありがとう」
ふぅ、と息を吐いたばっちゃんにオレはもう一つ決めたことを告げた。
それは国家錬金術師になるって決めた日からアルと決めていた事だった。
「本気かい?」
「本気だ」
「後悔しないかい……って聞いても、意味ないね」
後悔なんて、しないよ。
だって、それがオレ達が背負うべき罪だから。
母さんと笑って過ごしたあの家へとオレ達は足を運んだ。
もう、後戻りなんてできない。
それがオレ達の覚悟。
母さんの笑顔が詰まった家を、オレは燃やした。
真っ赤な炎が時間をかけて全体を包み込む。
胸に残る温もりも、記憶に残る温もりも、全て家の中に置いてきた。
その代わり、この光景を、この瞬間を忘れはしない。
胸の真ん中に消えないほど強く刻み込む。
ふと、隣にいるウィンリィを見ると炎に照らされた涙がキラキラと輝いて、一つ二つと彼女の頬を濡らしている。
「なんでおまえが泣くんだよ!」
「だって……だって……」
拭っても拭っても溢れ出す涙にオレは思わず笑ってしまった。
「……ったく。昔っから泣き虫なのは変わんねーな。ウィンリィは」
オレ達のために、おまえが泣く必要なんてないのに。
そうして、オレ達の元の身体に戻るための旅がはじまった。