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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師







目の上にタオルが乗せられて、視界が暗くなった。
何も見えない。
何も見えないのに、腕に何本もの管が繋がれていく感覚だけはわかった。
薬品の匂いが鼻の奥に刺さった。

「暴れるんじゃないよ」

ばっちゃんの声がいつもより低い。
見えないからこそ、余計に身体が勝手に強張った。
機械鎧と神経を繋ぐとかなんとか、ばっちゃんが言っていた気がするけど、頭に入ってこない。

痛みがくる、と身構える暇さえなかった。

びくん、と身体が跳ねる。
右腕の奥から、痛みが全身に伝っていく。
頭の中に白い火花が走る。
肉を切られる痛みでも、傷口を抉られる痛みでもない。
もっと奥だ。
自分でも触れたことのない身体の芯を、直接掴まれて引き摺り出されるような痛み。
反射的に悲鳴がオレの口から漏れた。

冷汗が止まらない。
身体は冷えているのに、右腕だけが熱を持っているみたいで熱い……。

外にはアルがいるのに……!!
こんな声を聞いたらあいつは……!!

ぐっと唇を噛みしめようとしたら、口の中に柔らかいものが当てられた。
どうやらばっちゃんがタオルを咥えさせてくれたらしい。
叫んでも大丈夫だと言われているみたいだった。

オレがタオルを強く噛んだのを見たばっちゃんは、手術を再開する。

意識が朦朧とする。
けれど、痛みが無理やり引きずり上げて、眠らせてくれない。
逃げさせてもくれない。

どのくらいの時間が経ったんだろう。
永遠に続くかと思ったあの激痛はもうどこにもなくて、ただ右肩あたりが強く脈を打っているということだけはわかった。





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