第8章 因果呪縛を解く
これまでの護衛任務であれば、星漿体を狙う呪詛師を撃退すれば事足りた。
しかし、これからの逃亡は呪術総監部が追ってくるのだ。多人数に追われ続ければ、補給も休息もままならなくなる。
「あなたは人間よ?食べなければ死ぬし、寝なければ死ぬし、空気がなくても死ぬ。自分で何でもできるなんて勘違いは捨てることね」
「……この協力者ってのが安全だって保証はあんのかよ?」
「会ったことはないだろうけど、あなたも知っている特級術師よ、彼女なら星漿体を国外に逃がせるわ。少なくとも国内を逃げ回るより数段安全よ」
女性の特級術師と聞き、悟もピンときたようだった。
「一応礼は言っとくべきか?」
「勘違いしないで、別にあなたのためではないわ。あくまで星漿体のことを考えての結果よ」
「ハッ、相変わらずだな」
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2006年、春―……
東京高専2年の五条悟、夏油傑の2名が星漿体 天内理子の護衛任務中に彼女を連れて逃亡。
すぐに指名手配が行われるべき案件だったが、一切行われなかった。
当初は逃亡者が呪術界最強と見做される五条悟であり、追手が返り討ちにされる懸念があったからとか五条家が呪術総監部に追跡しないよう申し入れたなどと様々な憶測が飛んだ。
一説には呪術総監部は直ちに指名手配しようとしたが、天元自ら不問にせよと命じたため手配は行われなかったとも……
その後、すぐに星漿体の足取りが途絶えたため、完遂されなかった護衛任務も含め、この事実は呪術界の闇に消えていく。