第8章 因果呪縛を解く
「それを本家に伝えろって?冗談じゃないわ」
「いや、それは俺が消えた時点で分かるだろ。伝えてほしいのは高専の方」
「……夜蛾先生と硝子先輩?」
「一応心配かけないように、な」
一気にしおらしくなったその態度は伽那夛の知っているそれとはかけ離れていた。
いつもの傍若無人が服を着て歩いているような姿は見る影もない。
「……言いたいことはあるけれど、同化をしないというのが星漿体本人の意思なら、まぁいいわ。このことは夜蛾先生と硝子先輩に伝えておく」
そう答えた伽那夛は悟に歩み寄り、用意していた二つ折りのメモを渡した。
「何これ?」
そう尋ねながら渡されたメモを開くと、知らない住所が書かれている。
「そこに星漿体を連れて行きなさい。彼女の身の安全を確保するための協力者がいるわ」
「オマエ、天内が同化しないって読んでたのかよ?」
「あなたが大きな声で問題発言するからよ。『星漿体が同化を拒否した時は同化はなし』って言葉、聞かれてたのよ。私はそれを家の者から聞かされただけ」
こちらは尋ねてもいないのにね、と伽那夛は肩をすくめ、ふっと鼻で笑う。
「自分の言動は常に監視されていると心得なさい、ご当主様?」
「助っ人なんてなくても俺らだけで十分だっての」
「これだからあなたは。自分達だけで逃げ続けることができると思ってるの?本気でそう思ってるのなら馬鹿よ、馬鹿。見通しが甘すぎる。仮にあなたは問題なくても星漿体は中学生の女の子でしょう?そういうところまで考慮しているの?」