第1章 船旅と出会い
ゆらゆらと揺れる波と眩しく照りつける太陽。
あたたかい潮風は不快感などなくむしろ眠気を誘ってくる。
目的地のドーレ港まで到着時間は分からない。
港で船を見た時は、こんな船で長時間過ごすのかとゲンナリしたものだが実際に乗ってみたら存外悪くないもんだ。
隣で大人しく伏せている相棒の背を撫でると、彼は心地よさそうに尻尾を振った。
「船って初めて乗ったけどあまり揺れないんだね」
「わふっ」
平和な雰囲気を醸しているが決して私たちは船旅を楽しみに来たんじゃない。目的はザバン市にて行われるハンター試験。
そのため、船には何十人もハンター志願者がわらわらと乗っている。
しかしどいつもこいつも人相が悪くてハンターというよりはチンピラ集団にか見えないな。
目を閉じて揺れに身を任せていると
どうやら船がどこかの島に停泊したらしい。
しばらくすると1人の少年が乗り込んできた。
「絶対に世界一のハンターになるから!!!」
つんつんと尖った髪の毛に緑色の服を身に纏った少年は見送りにきた人々に大きく手を振りながら元気に声を上げた。
彼に対する沢山の声援が、彼が島民中に愛されていることを物語っている。
「絶対に世界一のハンターになって必ず戻ってくるからー!!」
少年の【世界一のハンターになる】宣言を聞いた輩たちは、馬鹿にしたように笑い飛ばした。
「世界一のハンターねぇ。舐められたもんだな」
「ハンター試験には毎年、全世界から数百万人の腕利きが集まるんだ。だが選ばれるのはほんのひと握り。滅多なことを口にするもんじゃねぇぜ、坊主」
いい大人が発したとは思えない、あまりに稚拙な嘲笑に逆にこっちが笑えてくる。くだらなくてアホらしい。
が、言われた当の本人はなんとも思ってないのか
特になんのリアクションもせずに船内を周り出した。
少年の方が彼らより何倍も大人だ。
何となく少年が気になったので彼の動きを目で追うと、少年も辺りを気にしていたようで目がぱちりと合う。
少年は口角を上げながら私たちの方に駆け寄って来た。
「こんにちは!俺はゴン!!」
「、、コンニチハ」
あまりに友好的すぎて思わず変な間と妙なカタコトで挨拶返してしまう。この歳にもなってコミュ症な自分が少し哀れだ。