第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
ひなたは身体をそっと引くと不死川を見上げる。触れ合っていた二人の間に、僅かに隙間ができた。
「不死川さんには、この写真が猥褻に見えるってこと?…」
不死川はひなたの方は見ずに前を向いたまま、口を開く。
「俺は一般人だから、分からねェよ。好きな女がカメラマンに、大胆な下着だけつけてる姿を写される…。芸術かもしれないけど、男はそんな目では見ない。ひなたの身体を見て喜ぶ奴もいるんだ。俺は、自分の彼女が肌を晒すのは、すげェ嫌だ」
確かに美しい。形の良い丸みを帯びた胸に、ブラは装飾品のような華を添えている。ショーツを着けた下肢も見惚れてしまう。
何も知らなければ、不死川もこの写真を気に入ったと思う。こんなに綺麗な女性だから興味も湧くだろう。それが男の本音だ。
「やらしい見方でごめん。傷つくよな? 」
「ううん」
部屋に沈黙が広がっていく。お互い、相手の気持ちは理解できるものの、だからといって、気持ちを曲げて分かったフリは出来なかった。
「私、帰るね。不死川さん、嫌な気分にさせてごめんね」
「っおぃ、待て、ひなた」
「一人で帰れるよ、じゃ、また学校でね」
ショルダーバッグを掴んで立ち上がると、不死川に少し微笑んで部屋を出る。
「送る。ちょっと待て」
不死川も立ち上がる。廊下を歩いて行くひなたの目には少し涙が溜まっていた。不死川の言葉に振り向かないでドアから出た。
「…っう…」
不死川さんの気持ちも分かる。ひなたがモデルをしていた事を最近知ったのだ。仕事の内容も見たことがない彼に、初めて見せたのがセクシー過ぎる下着姿なんて。
良識ある男性なら、喜ぶよりも驚く筈だ。
ひなたは自分の感覚を押し付けてしまって悪かったと思った。
…でも、これは一生懸命にやり遂げたお仕事でもあった。
涙を拭いながら、マンションを出て歩き出す。
午後の街は冷たい風の音がして、歩き始めは寒くて、これから来る本格的な冬の訪れを感じていた。