第5章 陵南戦
そのワンゴールから、湘北にようやく「火」がついた。
赤木の咆哮が体育館に響くと、コートの空気が一気に引き締まり、続くプレーで安田が鮮やかに2点を決める。
花「いいぞ!ヤス!」
「きゃー!ヤスさんナイスー!すごーい!」
突然の大歓声に、安田の耳まで赤く染まった。
支え続けた仲間と、誰よりも自分を見てくれているに褒められ、緊張が一気に誇りへと変わっていく。
続けざまに陵南が流れを取り返そうと、巨大な魚住がゴール下でシュート体勢に入る。
しかし――笛が鋭く鳴った。
審判「3秒オーバータイム!」
ざわめく観客席。
湘北側のベンチが一気に湧く。
その中で花道だけが、ぽかんとした顔で周囲のテンションに合わせていた。
「3秒ルールっていうのがあって、攻撃側がフリースローレーンの制限区域内、つまりあの円の真ん中の線から下にある台形のゾーンに3秒以上とどまってはいけないの。それをした場合、相手のスローインから始まるの」
花「今あのボス猿が、3秒ルールを破ったのか?」
「そうよ。てことはどっちのスローインから始まる?」
花「湘北!」
「そういうこと!秘密兵器としてコートに入ったら、花道も気をつけてね」
花「おうよ!」
花道は胸をドンと叩き、誇らしげに頷いた。
その瞬間、応援席の水戸たちがしみじみとつぶやく。