第6章 リョータ・三井復帰
三「木暮!お前の夢なんか知るか!バスケなんて…バスケなんてもう…」
吐き捨てるような声だった。
強がりで塗り固めた言葉の裏で、三井の喉はわずかに震えていた。
「三井寿」
その名を呼ぶ声は、静かで、はっきりとしていた。
三「なに?」
「1番過去にこだわってるのは、あなたじゃない」
三「はっ……!」
短く息を呑み、顔を上げたその瞬間だった。
――ガラリ。
体育館の扉が開く音が響く。
彩子が振り返り、扉へ駆け寄る。
そこに立っていたのは、安西先生だった。
三井は、その姿を視界に捉えた瞬間、
時間が止まったように動けなくなった。
尊敬していた人。
憧れていた指導者。
そして――かつての自分を知っている存在。
安「おや…」
三「先生…安西先生…」
声が、情けないほどに震えた。
必死に押さえていた感情が、一気に決壊する。
三「うっ…うぅ…」
膝が崩れ、床に手をつく。
拳を握りしめても、涙は止まらなかった。
三「バッ、バスケがしたいです…ううっ…ひっく…バスケが…」
言葉は幼いほど真っ直ぐで、
取り繕う余地もなく、本心そのものだった。
こうして三井はバスケ部に戻ることになり、
一連の事件は堀田を筆頭とし水戸たちが起こした騒ぎだという形で処理され、
ひとまずの決着を迎えた。
水戸たちは3日間の謹慎処分を言い渡された。