第12章 *File.12*(R18)
「キミが塞ぎ込んだ時は直ぐに分かるけど、どうすればオレにその理由を直接伝えてもらえるのかが分からない。元々のきっかけを作っているのはオレなんだから、偉そうなことを言える立場では無いけど」
女の醜い嫉妬心や執着心に独占欲、とてもじゃないけど口には出来ない。
景光はこのまま何も気付かなくていいし、何も知らなくていい。
これ以上、貴方を困らせる、悩ませることは何もしたくはないし、言葉にもしたくはないから。
貴方に気付かれないように私が全てを隠し通してしまえば、全てが丸くおさまるでしょう?
「原因は自分の心の中だけで消化すればいい。そう思ってるのが、オレは辛い。ああ、そうか。誰にも相談せずに自分一人で生命を張って松田を護り助けたように、オレを傷つけたくないから、そういう考えに行き着くんだ」
「……」
とうとう答えを出してしまった。
「無反応は肯定と見なすよ」
「!」
「もう遅い」
慌てて頭を左右に振ったけど、もう手遅れ?
「オレも雪乃、ずっとキミに護られていたんだな。きっと雪乃にとって一番大切なオレの心を傷付けないように、辛いことがあると、何もかも自分の所為にして我慢をして、何時も限界になるまで本音を隠し通してきた。ねえ、雪乃」
「…なに?」
ようやく視線が絡み合って、頭上から聞こえていた声が急に近くなった。
さっきとはまるで別人かのような、穏やかな雰囲気を纏い、優しい表情と瞳をした本来の景光がいる。
「オレは誰よりも雪乃に愛されてるって、自惚れてもいい?」
「うん」
それだけは生涯変わることの無い、嘘偽りもない、紛れもない事実。
視線を合わせたまま、コクリと頷いた。
「もう一度、抱いてもいい?」
「私も景光に愛されたい。身体も心も私ごと全部」
「うん、雪乃の全てはオレのもの。だから、オレの全てを雪乃、キミにあげるよ」
伸ばした腕で、互いを抱き締め合って微笑む。
今夜は何もかも忘れ去って、全てを解き放って許し合ってただ、愛に溺れましょう。
誰にも入り込めない、二人の世界に広がる愛の海の深淵で。