第12章 *File.12*(R18)
「景光の全部を、私だけのものに出来ればいいのに」
視線は合わせないまま、天井を見ていた瞳を閉じた。
なんて醜い独占欲。
「まだ、余裕あるんだ」
「……」
そっち?
ねえ、ゼロ。
筋金入りの頑固モノ。
それは私じゃなくて、アナタの幼馴染の景光の方ですよ?
このまま、眠りたい。
あれこれ考えて、疲れた。
「…ン」
スっと景光が動いて、私のナカから出て行った。
急に襲って来た淋しさを紛らわすように、仰向きから身体を横向きに変える。
近くて遠い。
本当なら素直に玄関で出迎える予定、だったのに。
いざとなったら、何故か堪らなく怖くなった。
何が原因なのか、まだ私にも分からない。
「何処に行くつもり?」
「お風呂。シャワー浴びたい」
ベッドから降りたところで、背後からパシッと腕を掴まれた。
「…泣くなら、此処で泣いて」
「泣かない。泣く理由がない」
「絶対泣くよ」
「なんで?」
バレるの?
「もう泣いてる」
「泣いてなんかないから、離してっ」
前を向いたまま、思いっきり腕を振って振りほどく。
家の中とは言え、全裸で歩くのは恥ずかしいけど、今は致し方ない。
「…!」
寝室のドアノブに、手を伸ばした瞬間だった。
その手を取られ、背中に扉の硬さを感じて気付いたらキスをされてた。
「っん!」
景光はどうしたいの?
私は、どうしたいの?
今、すれ違う現状を。
少なくとも私は逃げたい。
何も解決しないことは、分かっているけど。
「…っ」
逃がさないとばかりに空いている景光の指先が首筋に触れ、イったばかりの身体はまたビクリと素直に反応する。
結局どんな状況下であれ、私は景光に求められたら、身体だろうが心だろうが躊躇なく差し出してしまえる。
本来なら此処に存在しなかったはずの、この生命でさえも。
もう手に負えないから何処か遠くへ行けと言うのなら、今直ぐにこの家から出て行くよ。
「また、つまらないことを考えてるだろう?」
「……」
「オレの傍から離れて此処から出て行くとか、自分はいなくなってもいいとか、挙句の果てには、死んでもいい、とか」
「……」
やっぱりエスパーだ、このヒト。