第10章 *File.10*(R18)
「あの日以来だね」
「ん?」
「二人が一緒にいるのを見るのが、だよ」
「他に言うことはないんかーい」
コナン君が入院している病室で、雪乃は呆れた顔で突っ込んだ。
「じゃあ、諸伏さんにはお疲れ様でした。と、有難うございました」
「こちらこそ、有難う。それから、お疲れ様でした」
「じゃあ、は、要らないでしょ?」
「どうして、そんなトゲトゲしてるの?」
「雪乃はコナン君のことも、とても心配で堪らなかったから、だよ」
「ムッ」
雪乃はプイと顔を背ける。
「…心配かけて、ごめんなさい」
「確かにすっごく心配はしたけど、謝ることはないの。コナン君が生命を張ってギリギリまで頑張ったってことは、二人から話を聞いて知ってるよ」
そう言いながら、ベッドから起き上がっているコナン君の髪を撫でた。
「諸伏さんと、安室さん?」
「うん」
雪乃が小さく頷きながら笑顔を見せると、
「!」
コナン君は赤らんだ顔を隠すように、俯いた。
「?」
どうしたの?
と、呑気に首を傾げる。
ホントに自分の魅力について、全くの無自覚だ。
うん、よく分かるよ。
「そうだ。アイツに出動要請頼んだって聞いたけど?」
「本人から?」
「昨夜、来たんだ」
「ふふ。で、置いて行ったんだ?」
サイドボードの上の、一輪の赤いバラを手に取る。
「…アイツ?」
「怪盗キッド、だよ」
苦々しい表情で、コナン君が教えてくれた。
「私の場合も、彼から会いに来てくれたのよ」
「タイミング的には、意図的に、か」
「だと思う」
彼らしいと、クスッと笑みを洩らす。
「そういえば…」
「ん?」
「どうして僕達が組織と闘ってるって、知ってたの?」
「ゼロとね、伝言を決めてたから」
「「伝言?」」
「安室透から、梓さんへの伝言。ポアロに来た私にこう伝えて欲しい。『安室は当面の間、ポアロを休みます』ってね」
「当面の間、それは、彼らとの全面戦争に入ったと言う意味か?」
「うん、ゼロからの提案で。一番危険な時に、二人から直接連絡をもらうようなことは出来なかったから」
「……」
本当に抜かりがないオトコだよ、ゼロは。