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*名探偵コナン* ILOVE… *諸伏景光*

第10章 *File.10*(R18)


「写真撮ってもいい?」
「ダメだ」
「えーっ!」
「朝イチから、何言ってる」
「だって、弱ってるゼロなんて、もうお目にかかれないかもしれないじゃん」
「煩い」
「ひどっ!」
「それはお前の方だろう、雪乃」
「くっくく」
「ほら、風見さんに笑われた!」
「間違いなく、雪乃のせいだ」
「何でよ!」

こちらに向かって歩きながら、口では憎まれ口を叩いているのに、その表情はそれとはまるで正反対。

「泣くな」
「…だっ、て」
「仕事に支障が出るだろ」

昨夜、景光の前でも散々泣いたはずだ。

「…無事で、よかっ、た」
「心配を、かけたな」

ベッドの直ぐ傍まで来るなり、俺が着ている入院患者用の服をきつく握り締め、俯く。

「ゼロが、生きていてくれたら…それで、いい」
「…っ」

この瞬間、身体が自由だったら間違いなく、この腕に雪乃を思いっきり抱き締めていた。
でも、これでよかったんだ。
もし風見がこの場にいなかったら、もしこの身体が自由に動いていたら、今の俺は雪乃に何をしてしまうか分からなかった。
一度抱き締めてしまったら、此処が病院だと言うことなどお構い無しに、昂って溢れ出したこの感情を止めることは出来なかった。
だから、心の中で懸命に感情を押さえ付けると何もないフリをして、伸ばした掌で髪を撫でる。

「もう、何の心配もいらない」
「…うん」

何故、お前は景光の元へ舞い降りた?
何故、お前は俺の元へ舞い降りてはくれなかったんだ?
運命の神様は、時に残酷だ。
それでも。
望月雪乃に出会えて良かった。
今は心の底から、そう思えるよ。
君が今流しているこの涙は、俺だけのものだ。
そう、自惚れてもいいだろう?

「退院したら、ポアロで好きなだけ食べさせてやるから、いい加減、泣き止め」
「…ホント?」
「ああ」

ふぅ、やれやれ。
本当に困った姫だな、君は。
ワザと持ち出した話に、ワザとそんな返事をして泣き止んでくれた。

「じゃあ、約束」
「…子供か」
「してくれないと帰らない」
「……っ!」

呆れながらも差し出された小指に仕方無しに小指を絡めたら、真っ直ぐに俺を見つめたまま、無邪気でいてふわりと優しい笑顔が返って来て、思わず息を飲んだ。


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