第5章 合同任務・第十班 狂気と料理の依頼人
あまり話したことがない、のは事実である。
が、いのは一方的に彼女をよく見ていた。
サスケへの好意からくる嫉妬心と、くノ一としてあまりに完成された彼女への羨望が理由だ。
『恋バナって言っても…私が話せることなんて何も無いよ。』
「アンタだって好きな人、いるでしょ?」
『どうしてそう思うの?』
んーと、いのは少し逡巡した。
そう思ったきっかけは、カルタがあまりにサスケに興味が無さすぎるからだが、それを口にするとサスケの好意を彼女に伝えることになる。
いのとしては、それはとても癪だし、そんなことをすればサスケに嫌われるかもしれない。
「なんとなく…でも、アンタっていつもなんか…遠くを見てるって感じがする。」
『…遠く?』
「うん。遠く。
──だからアンタの好きな人って、…歳上?」
カルタは、ここしばらくで一番動揺した。
いのが気付いたかは分からないが、伏し目がちな目がくっと見開いた。
『…歳上、だとして、いのちゃんは私が誰を好きだと思う?』
「えー教えなさいよ。」
『ふふ、嫌。』
意地悪そうにニヤッと笑った彼女に、いのは同性ながらキュンときた。その顔だけで五人は落とせそうだ。
「…シカマルのお父さん?」
『不倫だね…』
「じゃあ、ほら特別上忍のゲンマさんとか」
『私喋ったことないよ。』
「もーじゃあ誰が好きなのよ?!」
いのは寝袋でバタバタして、不満を表明した。
『いのちゃんのご期待には添えないけど、同期でなら…私は、シカマルが一番かっこいいと思ってるんだ。』
これ内緒ね?と人差し指を立て、カルタは寝袋に入ってしまった。
しかし、いのは衝撃の事実に固まっている。
──だって、それはつまり
「シカマル、あんたチャンスあるじゃない…」