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**彩とりどり** 【進撃の巨人・短編】

第2章  リヴァイ 狂犬



リヴァイが本部に帰るとちょうど書類を持って歩くエルヴィンとすれ違った
視線はリヴァイを捕らえたがそのまま歩き去る

少し歩きリヴァイは振り返るとエルヴィンの歩く先にはアンナが立っていて その目はリヴァイに向いていた



狂犬っていうより番犬だろ…

チッと舌打ちをして兵舎へと体を向けたリヴァイにアンナの声が聞こえる


「エルヴィン 一緒に食堂に行こう」

「私はもう済ませた…それより訓練場での話の続きがしたいから アンナ…夜は私の部屋に来なさい」

「うん」






番犬じゃなくて忠犬か…



エルヴィンと別れたアンナはリヴァイに追いつき彼の肩をポンと叩いた


「リヴァイお腹空いたでしょ?一緒に食べよう!」


さっきまで殺そうとしていた相手にアンナは明るく声をかけリヴァイの手を取り食堂へと走る


「お前はなんなんだよ…」

「エルヴィンに何もしない間は仲間でしょ?ちゃんと後輩は守るよ」

「殺そうとしたくせにか?」

「でもリヴァイ死ななかったじゃない だから今は仲間って事で許してね」


「仲間はファーランとイザベルだけだ 他人の命に責任はもちたくねぇ」


アンナは立ち止まり リヴァイと向き合う


「仲間の命の責任は持つ って事ね
じゃあ私がリヴァイとファーランとイザベルの命は守ってあげるよ だから一緒に食べよう」


簡単に言うな!と思ったが 繋がれた手は女の癖にゴツゴツとしてタコが出来ていた 小さな体であの機動力…並大抵の努力で身に付くものではない事は分かる


「…アイツらがいいって言ったらな」

ため息混じりにリヴァイは言うと空いている手でアンナの頭をぐしゃぐしゃに撫でた

アンナは嬉しそうに笑い「お返し」と言ってリヴァイの頭を両手でぐしゃぐしゃにする

気付いたらリヴァイもアンナの髪もぐしゃぐしゃに乱れていて お互いに声を上げて笑っていた


「リヴァイも笑うんだね…よかった」


アンナがリヴァイの眉間を人差し指で押した

「仲間以外の前だと いつもここに皺がよってるんだよ でも今は無いから私を少しは仲間って思ってくれてるなら私は嬉しいよ」


ニコニコと笑いスキップしながら食堂に向かうアンナに今日は振り回されっぱなしのリヴァイには

アンナは狂犬でも番犬でも忠犬でもなくて仔犬に見えた



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