• テキストサイズ

**彩とりどり** 【進撃の巨人・短編】

第12章 モブリット誕生日 帰る場所



「私が守るのはハンジさんだという事に変わりはない だから夜明け前までに見つけられない時は―…アンナは死んだとみなして帰ってくるから

リヴァイは来なくていい――…」

「アイツが簡単に死ぬはずねぇよ 必ず連れて帰ってこい」

「あぁ――」


空が暗くなり始めてきた 西の空の月明かりでどうにか視界は確保できそうだが松明も持って馬を走らせた







。゜。゜。゜。゜。゜。゜。゜。゜






訓練兵時代の雪山訓練で教官に言われた事を思い出していた


「遭難時はむやみに動きまわるな」


パニックになった時ほど動いてはいけない 冷静な判断ができなくて 間違った選択をしてしまうから…

今の私は冷静だとは思うけどそれも勘違いかもしれない 星の位置を見て拠点がどの方角にあるかは分かってる でも…もし助けが来ているとしたらすれ違いになる事だけは避けたかった


手元にあるのは腰に下げた水筒と2回分の野戦糧食――2本のブレードだけ

1体なら削ぐ自信はあるけど 2体だと無理だな――徒歩で逃げたとしても たいした時間かせぎにもならないか

それにブレードが折れたらそこまでだし


広い草原に大の字になり星を見ながら野戦糧食をボリボリと食べた

美味くも不味くもない味だなぁ―…




調査の出発前日がモブリットの誕生日だったから 甘い生クリームとミックスベリーが沢山のった15cmのホールケーキを奮発して買った



「次はアンナの誕生日を2人でお祝いする事ができますように――」


ローソクを吹き消す前にモブリットは願い事を口にして ローソクを吹き消した


甘い生クリームとちょっと酸っぱいミックスベリーが口の中で混ざり2人で「美味しいね」と言いながら食べた


思い出しながら口をモグモグさせても 広がるのは味気のない野戦糧食でそれを飲み込む液体も紅茶でもなくただの水だった


ひと粒ひと粒ポロポロと流れた涙は 次第に川のように道を作り 私は声を上げて泣いていた


「モブリットに逢いたい―……」


あのオリーブ色の瞳で見つめて欲しい
大きな手で頭と頬を撫でて欲しい
意外にもバキバキに鍛えている体で痛いくらい抱きしめて欲しい
匂いも嗅ぎたい―…でも1番は――





/ 78ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp