第9章 リヴァイ 誕生日
ナナバが組んでいた右足でリヴァイの脛を蹴り 肩に回した左手はリヴァイの髪を掴み上げ 耳元に口を近づけた
「だ か ら 何度も特別だって言ってるでしょ!今日はアンタの特別な日だからアンナは頑張ったんじゃない!この鈍感!」
さすがのリヴァイもナナバの勢いのある声が鼓膜に響きキーンとして固まっている
「鈍感って言うよりリヴァイは興味ないだけなんだよ
今日は珍しくアンナが沢山お酒を飲んでね…リヴァイ知ってる?酔ったアンナはすごく可愛いんだよ!そりゃもう抱きしめたくなるくらいにね!」
鼻息を荒くしてアンナを語るハンジ ナナバだけが うんうん とうなずき 男達は呆れて見ている
「酔った可愛いアンナがリヴァイの話になったら 寂しそうな顔をして『今日は特別』って小さな声でつぶやいたんだそれで私も気がついた…今日は12月25日だってね」
リヴァイの体がピクッと動いたわずかな振動がハンジとナナバに伝わる
「今日は君の誕生日だよ」
そういえば今日は幹部棟での仕事が無いのにアンナが紅茶を持って来た
執務机の上には書類が重なっている その書類をチラリとアンナは見た
「今日…夜は予定ある?」
「夜? エルヴィンもミケも王都だからな…予定はねぇよ」
「家で一緒に晩御飯食べない?」
「急ぎの書類はもうちょっとで終わるからな 今日はアンナの所で寝るか…」
アンナはトレーを胸に抱いて嬉しそうに笑い そんなアンナを可愛らしく思ったリヴァイはアンナの頬に触れて微笑んだ
「今日は特別なんだよ」
アンナはそう言ってリヴァイの頬を撫でた
大人しく2人に抑えられていたのが嘘のようにリヴァイは立ち上がる
足を組み座ったまま下からにらみ付けるナナバの髪をリヴァイはぐしゃと掴むと少し乱暴に撫でた
「ありがとうな…」
走って団長室のドアを出ていくリヴァイを見送ったハンジとナナバはハイタッチをして笑った
「間に合うかな?」
「無理だね」
ナナバはリヴァイの残したウィスキーを飲んだ
「ハンジ…間に合うとはどんな意味だ?」
エルヴィンがウィスキーを飲みながらハンジに聞いた
「かなり酔ってたからね…アンナは多分眠ってるよ」
「まったくなんでリヴァイなんだろう…」
ナナバは深いため息を吐いた