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**彩とりどり** 【進撃の巨人・短編】

第9章  リヴァイ 誕生日 



「ワインを温めてマーマレードとシナモンとクローブを入れて…」


「そんな説明されても私もハンジも分からないから作ってよ!アンナの作る物は美味しいって信じてる!」


「それすごいプレッシャー感じるんだけど…」

苦笑いしながらアンナは残り少なくなっているワインを鍋にかけた

マーマレードと香辛料の香りがひろがりハンジとナナバが早く飲みたいと言わないけど体が揺れて催促している

そんな2人が可愛くてアンナはカップに注ぎながら笑ってしまう


「はいどうぞ」


マーマレードの甘さと少しの苦み クローブが舌を刺激してシナモンの香りが鼻に抜ける


「すごいよアンナ!もっと無いの?」

「だからハンジが飲み過ぎなんだって!あぁ…このケーキにも合う…アンナを嫁に欲しい」

「リヴァイが譲ってくれないよ 諦めなさい」

「そうかな…リヴァイは今日の事 忘れてるくらいだし…特別な……」

『日なのに』最後はため息にまぎれて2人の耳には聞こえなかった


酔っているアンナがちょっとだけ見せた悲しそうな顔はケーキに夢中なナナバには見えていない

「なんで? 忘れてないから私達を代わりに……」


アンナがポロリともらした「今日は特別…」の意味をハンジは考える


「ナナバ…今日って何日だった?」

「今日?25日でしょ」


ホットワインで完全に酔ってしまい ふにゃふにゃと笑っているアンナは 自分が本音を吐き出した事には気付いてない


まったく世話がやけるよ!


ハンジはテーブルをバンと叩き立ち上がった

「ナナバ一緒に行くぞ!」

ケーキをもう一切れ食べようとしているナナバの腕を掴み立ち上がらせる

「えっ!何?ハンジ?」

訳も分からずナナバは入り口へと引きずられた

「アンナはここで待ってなさい!」

ホットワインで酔いがまわったアンナは両手を上げて

「はーい」と無邪気に笑った





幹部棟へとまっしぐらに向かうハンジ


「ハンジ急にどうしたの?」


「12月25日リヴァイの誕生日だ!」


ナナバがハッと息を止めた気配を背後に感じた

「……そうか だから いつもよりアンナ可愛かったんだね」

「どうする?リヴァイ殴る?」

そんな物騒な話をしながらハンジとナナバが幹部棟へ向かっている事を知らないアンナは酔っぱらいテーブルに突っ伏して眠ってしまった



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