第4章 モブリット 猫
「アンナは賛成だよね?手伝ってくれる?」
「いいよ」
「アンナ!勝手に返事をするな」
「リヴァイはうるさい」
「オイ!モブリットこの馬鹿2人見張っとけよ」
壁外調査 開門前にしては緊迫感に少し欠ける会話が続いている
巨人を生捕りにしたいハンジと協力したいアンナは肯定派
リヴァイは反対というよりは「ちゃんと捕獲するなら準備をしてからしろ」という考え方だから 準備不足な作戦には否定派
そしてモブリットは…
「分隊長もアンナ兵長も今回はダメです 勝手な行動は他の団員の命を危険にさらします それでも勝手な事をするんですか?」
いたい所を突いてくる派だった
「団員の命」と言われてやっと2人は黙った
今回の目的は物資の補給と新しい拠点候補を探す事 人類は少しずつ壁外の世界に進んでいく
1日目の目的地の古城には10人ほどの犠牲者を出して到着した
今回の長距離索敵陣形ではアンナが最後尾に着いていた
陣形の要である最後尾で信煙弾を確認しながらの移動はかなり神経を使う
アンナが上がり過ぎれば菱形の陣形は壊れるし 下がり過ぎれば縦長の陣形になってしまうし なによりアンナが孤立してしまう
今日は風が強く煙が流れてしまい いつもよりも疲れていた
「あれだけ煙が流されたのに陣形の乱れもなく 見事だったよ…アンナ」
初めての壁外調査でアンナが3体の巨人に遭遇し所属していた班はアンナ以外全員が食べられた
泣きながら仲間の装置からガスを抜き ブレードを両手に持ち巨人の足首を切断しギリギリで戦っていた
ガスは交換できたがブレードは切れてしまい ただ巨人の体にアンカーを撃ち込みながら逃げていたアンナを助けてくれたのがエルヴィンだった
馬の背に立ち 駆けつけてくれたエルヴィンをアンナは守ると決めた
その為に血を吐くような努力をして今のアンナがいる
「ありがとうエルヴィン…」
「恋する乙女」と言うよりも 大好きな飼い主に誉められ尻尾をブンブンとふる犬のようなアンナを リヴァイは「忠犬」と呼んだ