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もう一度、を叶えるために。second

第15章 決別





イタチはぼんやりと、夕食を作るエニシの後ろ姿を眺める。
そうしながらも、イタチの脳裏に幼い記憶がぽつりぽつりと蘇っていた。

エニシの修行に付き合ったこと。
三人でやったこともあった。
任務も請け負ったこともある。
木渡の練習中、落ちそうになったエニシを助けたこともあった。

ーそうだったな…。あの時、初めて聞いたんだった。

エニシの秘密である過去世の記憶。
今や、秘密とは言えない程、知る人は知る秘密となったが。


『ナルトの話って、途中までしか読んでないの…。』


これが、エニシの数少ない嘘の内の一つだった。
彼女は嘘を付けないという思い込みから、それは真実だと思ってしまったイタチの失敗だった。
あの日エニシは、ナルトの幼い頃までしか知らないと言っていた。
しかし、言い方を変えればその後が物語としてあると知っていたのだ。
エニシは、カカシを慕っている。
ならばその後を知りたいと、エニシなら思うだろう。
知らないままでいられるような奴ではない。
少しの違和感は、気づけば簡単な矛盾だった。

ずっともやもやした違和感のような蟠りのようなものは感じていた。
里抜けし、エニシと会う機会が無くなると、思い出に蓋をするように考えるのを止めた。
再会してからは、年が経つほど、その内に分かると、知らず避けてきた。
イタチは聡い。
感情を捨て、機械的に全ての考察を行えば、自ずと答えに辿り着けていただろう。
それをしなかったのは、今の日々に安らぎを感じていたから。
手放したくない執着のようなものがあったから。

ー俺に…そんな資格は、もう…。

イタチは様々な想いに蓋をするように、ぎりっと奥歯を噛んだ。
それほどに、この二年は、何気ない日常がかけがえのないものとなっていた。
失ったからこそ分かる、何物にも変えられない得難いものだと。

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