第12章 懐かしい顔と新しい顔
「いや、そんなことないよ。まぁ、ちょっと嬉しいっていうか、ほっとしたっていうか。上手く言えないだけ。」
「ほっとした?」
「うん…。あぁいう絶体絶命の時って、大概意識が飛んでて、全部終わってから意識が戻るの。だから最初から最後まで覚えてたのって初めてで…。」
絶体絶命の時って、いつも綱手様が庇ってくれてたんだよね。
一人きりの時に狙われたことはあったけど、ほんの少しの時間だけ。
大体、綱手様達が気づいて駆けつけてくれて、記憶がなくなったのも極わずかな時間だけだった。
だから、この”癖”にお世話になることって殆どなかったの。
本当の意味で、一人きりで絶体絶命の場面に対峙したのって、兄ちゃんが死んだ時だけ。
逆を言えば、自分の力じゃ一発逆転なんて出来ないと思ってた。
だから、全部自分の力だけで生き残れたのが、なんか感慨深いっていうか。
出来ないとばかり思ってたことが出来て呆然とするっていうか。
少し、ふわふわしてる。
「自分の力が実感できたってか?」
「うーん…。まぁ、それに近いかな。」
「はっきりしねぇな、うん。」
「だから、上手く言えないんだって。」
あれ?そういえば…。
「ねぇ。デイダラってさ、イタチの事目の敵にしてなかった?」
聞いてみたら、一度手が止まった。
でも、すぐに動き出す。
「別に…。あいつにも弱点があったんだなって思ったら…なんか、どうでもよくなった。」
「え、そんな簡単に切り替えられるもの?」
疑わしい…。
「うるせぇな。バトってほしいのかよ。」
「いんや、全然。でも腑に落ちないのも本当。」
「何でもズバズバ言いやがって…。ただ、あいつを屈服させたけりゃ、お前を屈服させりゃいいって分かったら…拍子抜けしたってだけだ、うん。」
「何でそこで私が出てくるのさ。」
弱点はどうした?
「馬鹿か、てめぇは。お前が弱点に決まってんだろうが、うん。」
「それ、勘違いだと思うよ?」
「はっ、そうかよ。だがまぁ…、お前を屈服させるって色々と骨が折れるかもな。」
「そうかもね。諦めが悪いのが私のいいところだし。」
「考えただけでも面倒だな、うん。」
それきり会話が途切れ、カチャカチャと食器の音が時間を埋めていく。