第28章 今宵はふたりで Ⅱ【P273〜の続き、🤍&🐾 ♟️*】
「っ………!」
夢幻から解放されたヴァリスは、はっと瞼をひらいた。
瞳を巡らせると、そこはデビルズパレスの自室。
「ヴァリス……!」
ゆっくりと起き上がった儚い背を抱き留めたのはシロだった。
ヴァリスをその腕のなかに閉じ込めるその指は、仄かに震えている。
「シロ……。」
未だ身体の力が抜け落ち、指一本動かすことすら儘ならない腕を叱咤して、その広い背に指をかけた。
「!」
ふたつの影がより重ねあわさり、彼の胸元にそっと身を寄せる。
ドク、……ドク………ッ、と間隔の狭まった生者の証をじかに感じ取り、ヴァリスは瞳をとじた。
きゅ、と彼の魔導服のジャケットを掴む儚い指。
ヴァリスの行動に固まってしまっていたシロは、
ややあって、己の服を掴んでいる彼女の指をそっと外した。
「ルカスを呼ぶ。………ここで待っていろ」
そう言って、するりと温もりが離れていく。
ヴァリスは咄嗟に彼の魔導服の袖口を掴んだ。
「いかないで」
シロの長身が仄かに震える。
そして、大きな掌がなだめるように頬を撫でてきた。
「すぐに戻る」
そう告げ、彼女の指を解かせようと己のそれを重ねてくる。
ぎゅ、と彼の服の袖口を掴んだ指に力を込めた。
「………離せ」
困ったように声を紡ぐシロに、俯けていたおもてを上げる。
彼の肩越しに、室内に設えられたドレッサーの鏡に映る自分の表情が見えた。
頬には血の色がのぼり、何かを堪えるように噛みしめられたら唇は殊更に紅く彩られている。
何よりその瞳は熱と涙が混ざり合い、自分の眼にも酷く扇情的に見えた。