第6章 デートの練習
だけどこうやって笑える話に持っていってくれたことで、頭の隅に残っている残像への不安や、この持病が抱えてる本当の大きな爆弾に向き合う憂鬱は吹き飛んだ。
「ジョー」
「んー?」
「ありがとう。そういう明るいところ好きだよ。真っ暗な中にいても光をくれる」
サングラスの奥にある空のような瞳を見つめると本当に眩い光がきらりと見えたような気がした。
五条先生は少しだけ目を見開いて、それからふっと口角を上げた。私は言葉を続ける。
「死と隣り合わせの呪術界も、ジョーがいるからどこか楽観的で明るい空気になってる時もあるんじゃないかな」
「高専の連中にもその言葉、聞かせてやりたいねぇ。みんな冷たいよー。たまに僕を冷ややかに見てさー。歌姫なんてなんもしてないのに会うたび機嫌悪いしね」
「バカ呼ばわりだもんね。バカ目隠しだもんね」
「なんか言った?」
「いえ、なんにも」
喉の奥に込み上げてきた笑いを収める。さらっとこのまま流そうと思ったけど五条先生は許してくれなくて……。