第6章 デートの練習
「えっと……何が言いたいのかよく分からないんだけど」
「いや。特にないんだったらいいよ」
五条先生はそれ以上は追求してこなかった。
あの時、羂索に睨まれた気がしたけどそんな幻覚を見るなんて漫画読みすぎオタクもいいとこだし、怒りと恐怖で震えた事を思い出すのも怖かった。これ以上持病について話すことも。
「何もないよ。あの時抱きしめてくれてそれで落ち着いた」
「そう。あんなんでよかったの?」
「うん。もし調子崩す事があれば、同じようにしてくれたら助かる」
「お安い御用。っていうか君を抱き止めるのは、僕の毎朝の日課だしね」
「それは言わないの」
ぷうっと頬を膨らませると、それを見た五条先生がクスッて笑う。これは私の寝相の話だ。
私の寝相は一向に改善されず、毎晩五条先生を壁まで追いやってしまい、それを抱き止めるようにして彼は眠っている。
毎朝、私の目覚めの第一声は「なんで私ここにいるの?」だ。
ヤカンや鍋を境界線にしても突破してしまうし、五条先生は「すさまじいねぇ」ってまるで里香ちゃんに言うようなセリフを私に言って、もはやネタになってる。