第6章 デートの練習
「それは自分の力で立ちたいってこと?」
「そう」
「だったら必要以上に手は貸さないよ」
「そうして」
五条先生らしいと思った。
例えば大切な誰かが転んだ時、すぐに手を差し伸べて起こしてあげるのは優しさだと思う。
だけど、もしその人が一人で起き上がって自分の力で歩きたいと望んでいるとしたら、それが本人のためだとしたら、あえて手を貸さずに少し離れたところから見守っているのもまた優しさだ。
五条先生は私の意地と強さを大切にしてくれてる。
「まぁ、でもなんか僕に手伝えることがあればそんときは遠慮なく言って。金銭的な援助は難しいけど、それ以外は大抵何でも出来ちゃうからさ」
「ありがとう。そういうスタンスが一番嬉しい」
私がニコリと微笑むと五条先生も同じような微笑みを返してくれた。
「そういや、さっき僕に助けてって言ったよね……」
「ごめんね。急に真っ暗になったから怖くなってつい」
「いいんだけどさ。助けてって……他に何かあるんじゃないの?」
思わずドキリとした。まるで何かを知ってるように私を見据えてくる。