第6章 デートの練習
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きっとずっと気になっていたんだろう。歩きながら五条先生は地下鉄ホームで起きた私の体の異変について訊ねてきた。
「さっきのって人に酔ったの?」
「あぁ、ううん……多分、持病の症状だと思う」
「持病?」
「言ってなかったよね」
この件について、これまで話すタイミングがなかったかと言われれば答えはNOだ。
でもなんとなく億劫で口に出さなかった。それにこれは私の問題で五条先生には関係ないとも思ったし。
だけどこうなった以上何も言わないのは不自然だ。私は五条先生に簡単に持病の症状を話した。
こめかみの痛みから始まって頭が割れるような激しい頭痛が起きる事やふらつき、気分が悪くなることなどを。
「ちゃんと医者に診せてる?」
「うん。でも治療法も特効薬もなくて入院も保険適用外なんだ……。だからもし倒れた時のために節約してお金を貯めて暮らしてるの」
「そうだったの」
首を縦に振る。
本当はこの話には続きがあるんだけど、それを話したら五条先生は私の事、気持ち悪いって感じたり、人として信頼出来ないって思うんじゃないかなって不安が胸の中に渦巻いて、それは言えずにいた。