第6章 デートの練習
彼の大きな体に寄りかかっていると、さっきも思ったけどすごく落ち着く。
トクントクンと聞こえる心臓の音は私のものか彼のものか分からないけれど、まるで二つで一つの二重奏を聞いてるみたいに心地よくて、安心する響きだった。
しばらくして、体調がましになり、自力で立とうとすると、五条先生の指が私の前髪にかかる。
「ねぇ、ここどしたの? 火傷?」
「……あ、そこは」
触られたくなくて咄嗟に手でその箇所を覆った。
額の右側――こめかみの近くだ。
そこには傷があって、見た目がケロイドのようで、私は普段ファンデと前髪で隠して、人に見られないよう気遣っていた。
ファミレス採用の面接時にも気にしていた外見の傷だ。五条先生は私が眠ってる時なんかに何度か見てると思うし、私が傷を気にしてるのも知ってるとは思うけど。