第6章 デートの練習
ちなみに、今回の渋谷事変聖地巡りデート(の練習)のプランは五条先生に全てお任せしている。お財布もまるっと預けることにした。
と言っても五条先生の金銭感覚で好き放題使われたら1日で破産してしまうから、先生からしたらありえない低予算デートかもしれないけど、渋谷で壱万円使い切ったらデートは終わりってことでお願いした。
◇
一時間後、私達は渋谷の地に降り立った。沢山の人や車の往来で騒がしいこの街は、今日も熱気に包まれていて、冬の北風なんてどこかに吹き飛んでしまいそうだ。
渋谷駅を出た人たちは、皆それぞれの目的地に向かってせっせと足を動かし、街の中に溶け込んでいく。
そんな中、五条先生は周りよりも少しスローペースで歩き出し、ハチ公像の前まで行くと立ち止まった。あたりをくるりと見渡す。
「うーん……やっぱり人がいっぱいいるね」
「渋谷ですからね」
「千愛、大丈夫?」
「あぁ……うん……ありがと」
様子を伺うように顔を覗きこまれたのは、都心は苦手だって私が昨日、不安を口にしたからだろう。五条先生がさっきゆっくり歩いたのも、どうやら私のことを気遣っての行動だったみたいだ。