第6章 デートの練習
――だーいじょうぶ。僕がついてるじゃない。
そう言ってくれた彼の言葉を思い出した。五条先生は基本マイペースで、周りの反応なんてお構いなしなとこあるけど、肝心なところはちゃんと見てくれる人なんだと思う。
「なんか飲む?」
「ううん平気、ありがとう。気にせず獄門疆の調査、進めて」
「んじゃ、とりあえず僕が帳の内側に入った文化村通りに向かうね」
「オッケー、ジョー」
明るく返事した。五条先生が一歩先に踏み出したから、少し遅れて背中を追いかけるようにして歩く。広い背中だなぁーなんて思いながら。
するとものの1分も経たない内に、ピタッと先生が立ち止まった。急に静止したもんだからぶつかりそうになって、慌てて私も足を止める。
どうしたんだろうとそのまま後ろ姿を眺めていると、くるりと体がこちらに向いた。
「ねぇ、さっきからなんで僕の後ろにいんの?」
「なんでって、付いて行ってるんだけど」
「こんな縦並びのデートある?」
「……世界中探せばきっと」
「おふざけしてないで隣においで。昨日もそうやって歩いたじゃん」
軽く怒られた。まるで先生と生徒みたいだ。昨日っていうのは、お団子屋さんからアパートまで帰った道のりのことを言っているのだろう。
確かに帰り道、並んで歩いたけど、細々としたあの道と洗練されたこの通りでは色々と異なる。
実を言うと、五条先生自身は気付いているのかどうかわからないけど、彼は変装していても結構目立っている。