第6章 デートの練習
「千愛といるとまるで飽きないね」
「んん、ンンンんん!」
"もう喋らない"って口を閉じながら発声したつもり。何を言ってもどうせ揶揄ってしかこないんだろうし。多分通じてるだろう。
「ひとつ教えとくとさ。僕は誘われるより抱きたい派なんだよね……」
「その情報いる?」
思わず声が出た。喋らないって言った矢先から。
今、何を聞かされたの? ベッドで大人しく横たわってればいいってこと? だから五条先生とどうこうなろうなんて思ってないってば。彼のペースにどんどん乗せられてる気がして話をぶち切った。
五条先生の周りにいる人は、こんな感じで彼の言動に振り回されてるんだろうな。
公式ファンブックのストレス欄に五条悟の文字が書かれてるのを思い出して、わかるわーってなった。落ち着くために3回ほど呼吸をして整える。
「髪乾かして早く渋谷行こ」
「そんなに早く僕とデートしたい? 嬉しいねぇ」
「雨が降ったら嫌だから早めに行って早めに帰ろうって言ってるの」
「照れない照れない」
「照れてない」