第6章 デートの練習
玄関を出て数歩先の隣の部屋をノックする。
ボブが何の仕事をしているのかはよく知らないけど、昼間働きに出て夜はアパートにいる生活をしているみたいだ。
スミレさんは週に3日程度、ホステスの仕事に出ている。
もう10時過ぎてるし訪ねるには遅いかなぁと思ったけど何回かドアをノックすると玄関の電気がついて、中からボブが出て来た。どうやら今日は1人みたいだ。
「こんばんはボブ」
「ドウカシタデスカ?」
「あのね、急で申し訳ないけど、ベルトの予備があったら1日だけ貸してもらえない?」
「ワオ」
「ワオ? ワオって何?」
「オトコデスカ?」
「男だけど……あぁそういうこと? 彼氏とかじゃないから」
スミレさんとボブは時々私のプライベートに介入してくる。24歳の女が男っ気もなくボロアパートに一人暮らししてるって言うだけで興味を引くみたいだ。
五条先生の正体はもちろん話していないけど、同居人がいるっていうのは知っているみたい。
多分、賑やかな生活音を出してしまってるし、玄関に出入りしてる姿もひょっとしたら見られてるかもしれない。
「カレシジャナイオトコト、スンデル?」
「行くところがないから身を寄せてるだけ」
そう言ったんだけど、あまり私の話は聞いていなくて、拾った男とかゆきずりの男とか、どこでそんな日本語覚えたんだっていうワードが出てくる。