第6章 デートの練習
このところすっかり生きる基本を忘れていた。人様が作った既製品をお金で買おうとするからいけないんだ。
貧乏は自力で補うのが基本。なんで今まで気がつかなかったんだろう。
確かいい感じのものがあったはず。私はかつて安売りセールしていた時に買いだめしておいた布をクローゼットの奥からひっぱり出してきた。
お金が足りない時にハンドメイドでもしてフリマに出せば足しになるんじゃないかと思い、買っておいたものだ。その中からカーキー色のしっかり目の生地を取り出す。
お店のサービスで型紙もいくつか無料で貰っている。それらを手にし、収納棚の奥の方から電動ミシンも取り出した。
「何すんの?」
「ちょっと離れてて。集中するから」
五条先生をベッドの上に追いやってローテーブルの上にそれら一式を置き、腰を落ち着ける。ふうっと一つ深呼吸を入れた。
「でゃぁぁあー!」
よくわからない気合いを入れた。
股下を90に変更したメンズパンツの型紙に布を当て、マチ針で止めて裁断し、ダダダダダっとミシン針を進める。勢いよく布を縫い合わせる。
五条先生の服くらい縫ってやる。渋谷に間に合わせてやるー!