The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
三ツ谷先輩は、肩から手を離すと俺の横に同じように壁に背中をくっ付けて寄りかかる。
少し怒ったような雰囲気を感じる中、佐野先輩がこちらへと歩いてきた。
「タケミっちと、イズミっち怪我してるけど…」
「オレはキヨマサくんに刺されて…和泉は、レッドくんからタクヤ庇って……」
「俺はそんな大した傷じゃないですから。ただ、武道はナイフ貫通してるから」
傷跡は残るはず。
俺も恐らく肩のは傷が残ってしまうだろうけども、別にそれでも構わない。
幼馴染を守れたという勲章のようなもの。
煩わしいや、消えて欲しいみたいな感情はどうしても湧くことはなかった。
「タケミっち、イズミっち…オレらの隊員は悪かった」
「ちょ、佐野先輩…!?」
「ま、マイキーくん!頭上げてください!!」
突如佐野先輩が、オレと武道に頭を下げてきて思わずギョッとしてしまう。
何とか頭を上げさせようとするけれども、佐野先輩の頭を下げたままで武道と顔を見合わせて困り果てた…。
「まだ正式に東京卍會メンバーに入った訳じゃないのに、抗争にまで巻き込んで怪我までさせた…。ホントに悪かった…申し訳ねぇ」
「マイキー君…」
「特に気にしてないので、頭上げてください。大体アレは仕方なかったんですから…」
「そ、そうっスよ!だから頭上げてください!」
「……うん、ごめんね。2人とも」
やっと頭を上げた佐野先輩の顔は、どこか辛そうで悲しそうで言葉が詰まった。
なんと声をかけたら良いのだろうか…なんと言えばいいのだろうかと悩んでしまう。
「取り敢えず、ドラケンの治療が終わるまで大人しく待ってようぜ……」
三ツ谷先輩の言葉に賛同しながら、長く静かな時間を待合室で過ごした。
佐野先輩のあの言葉のおかげなのか、さっきまでの空気とは変わり少し落ち着いた空気が流れている。
(にしても凄いな…。あの言葉だけで、全員を落ち着かせるんだ。荒くれの暴走族の総長をしてるからこそかな…)
そう思っていると、手術中の看板の赤いライトがパッ……と消えてそれを見た全員が立ち上がったり手術室の前へと向かった。
「手術が終わった…」
武道の言葉からその場に緊張が走った。
手術室から出てくる医者はなんていうのか…龍宮寺先輩は無事なのか……。
何とも言えない緊張感に唾を飲んだ。