The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
「オマエっ…なんでっ!!!」
「最近、言う事聞いてくれねぇよなぁ。なぁ?和泉」
唇を噛み締めると血の味がした。
怒り、絶望、悲しみ…そんな物のような違うような物が体中を巡っていく。
そんな俺を前に修二はただ笑っているだけ。
「イズミっちの知り合い?つーか、誰?」
「オレが誰とかどーでもいいけど。一応今、“仮”で愛美愛主を仕切ってる半間だ。そこの和泉とは幼馴染」
「お、幼馴染っ!?え!?」
「俺が小さい頃、歌舞伎町に住んでた事があっただろ。その時に隣に住んでた幼馴染なんだよ…」
あの時ゲーセンで愛美愛主と一緒にいた時に声をかけて、無理矢理にでも聞き出せは良かった。
まさか…まさか修二が愛美愛主を仕切ってるなんて…。
歯を噛み締めながら、修二を睨んでいれば優雅に煙草を吹かせながら微笑まれた。
その笑みが今は兎に角憎ったらしい。
「イズミっちの幼馴染ね…。オマエが裏でネチネチしてるキモ男?」
「面倒クセェなぁ、マイキーちゃ…」
修二が言い終える前に、佐野先輩が修二に目掛けて蹴りを入れたが俺は『当たらないな』と確信していた。
佐野先輩が相手だとして修二は簡単にやられる人間じゃない。
だからホラ…佐野先輩の蹴りを簡単に受け止めている。
「マイキーの蹴りを止めた!?」
「そんなに急ぐなよマイキー。痛ってー」
「流石、歌舞伎町の死神…」
「歌舞伎町の死神?」
「修二の渾名。歌舞伎町では有名で、どんな相手でも容赦なく半殺しにするせいでそんな名前が付けられたんだよ」
喧嘩なら人並み以上の強さ。
その辺の雑魚なら瞬殺でもあり、佐野先輩の蹴りを交わすか受け止めることぐらい簡単にやってのける。
だから敵に回すと厄介なんだ。
面倒臭いし、とことん殺ってくる…だけど今回の策略、修二が考えたとは思えない気がした。
「オレの目的は“東卍潰し”。かったりぃから内部抗争っしょ。でも結果オーライかな…これで“無敵のマイキーを”この手でぶっ殺せるからな!!」
今まで聞いた事がなかった。
修二が東卍潰しをしたいなんて、佐野先輩を殺したいなんて聞いた事がない。
「俺には隠し事はしなかったんじゃないのかよ…」
ボソリと呟いた言葉は無情にも雨で掻き消されていく。
きっと修二には届いていないだろうな。