The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
三ツ谷先輩は『おいで』と優しい短い言葉で、そう言うと俺の手を取り家の中に入っていく。
ルナマナちゃんの二人は外で遊んでいると言い、私と三ツ谷先輩だけ家の中に入った。
「悪ぃ、今麦茶しかねぇけど大丈夫?」
「はい。ありがとうございます」
麦茶が入ったグラスを受け取り、口に含んで飲んでいれば三ツ谷先輩は袋に入っているスウェットを取り出していた。
そして不思議そうな表情で、スウェットを鼻の近くに持っていき匂っている。
どうしたのだろうか。
そう思っていれば、三ツ谷先輩はスウェットを手にしまま俺に近付いたかと思えば何故か俺の首元をクン…と匂った。
「み、三ツ谷先輩……っ!?」
「ん…」
正面から三ツ谷先輩は俺の首筋を匂っている為、傍から見れば抱きつかれているような体制。
しかもさっきから三ツ谷先輩の髪の毛が首筋に当たり、擽ったいのと彼の匂いが近くで香り顔に熱が集まるのが分かった。
「みつ…や先輩っ…?」
「あ……悪ぃ。スウェットからすげぇ良い匂いして、知ってる匂いと思ったら和泉の匂いだったんだな」
「お、俺の匂いですか…?」
「ん、優しい落ち着いた匂い。柔軟剤の匂いか?」
「多分、そうだと思いますけど……」
すると三ツ谷先輩はジーと見てくる。
シルバーパープルの瞳の中には、間抜けな顔をした自分が写っているのが分かり思わず顔を背けた。
「顔、赤いけど大丈夫か?」
意地の悪そうな笑みを浮かべた三ツ谷先輩は、ゆっくりと俺へと手を伸ばしてくる。
そして彼の手があと少しで触れそうになった時であった。
ガチャ!と勢いよく玄関の扉が開き、ルナマナちゃんが入ってきた。
そして居間に入ってくると頬を膨らませてから、不機嫌そうな表情。
「早くお祭り行こうよ!!」
「行こう!」
「あ、うん。そうだね!行こうか!!」
逃げるかのように慌てて立ち、玄関へと向かう時三ツ谷先輩は深い深い溜息をつくのがきこえた。
だがその溜息の理由は分からない。
「……ま、脈はあるって思っていいかな」
「お兄ちゃん早くー!」
「おー。ちょっと待ってな〜」
そして顔が少し暑いまま、4人で武蔵神社の祭りへと向かう。
道中、修二の『武蔵神社の駐車場には近付くな』という言葉を思い出したが駐車場に近付かなければ良いだけと思いながら歩いていく。