The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
眠い目を擦りながらも、起き上がりウィッグをしっかり付けてからスウェットの入った袋を持ち家を出る。
夕方になると暑さも少しは和らぐが、それでも暑いのは暑い…。
眠気が完全に覚めた訳でもないようで、ボーとしながら歩いていく。
そして暫くの間歩いていれば、三ツ谷先輩の宅のアパートが見えた。
「祭り、武道達意外と行くの久しぶりかも…」
「あ!和泉お姉ちゃんだ!!」
「お姉ちゃん!!!」
「お、ルナマナちゃん」
声をかけられたと思えば、玄関前にルナマナちゃんがしゃがんで座っていて今日は何時もの可愛らしい服ではない。
綺麗な浴衣を2人して着ていた。
「2人とも浴衣似合うね、可愛いよ」
「えへへ!」
「お兄ちゃんが作ってくれたの!」
「三ツ谷先輩が……!?」
あの人どんだけ器用なんだよ…。
驚きながらも、浴衣を改めて見てみると2人は色違いの浴衣を着ており大きな花が散りばめられ花火の柄もある。
布から調達して作ると思うが、ほんとに器用だなとまじまじと浴衣を眺める。
浴衣を作れるなら、三ツ谷先輩は着物とかも作れそうだと思っていると『お』と声が聞こえた。
「和泉来てたんだな」
「こんにちは、三ツ谷先輩」
「ん、こんにちは」
「ルナマナちゃんから聞きましたよ。浴衣作れるとか、三ツ谷先輩どんだけ器用なんですか…」
「まぁ、作り方の本見ながらやったから意外と簡単だったぞ?」
「………三ツ谷先輩の簡単は俺にとっては簡単じゃないですね」
よく本見ただけで作れるな…と思いながら、ジト目で見ていれば三ツ谷先輩は苦笑を浮かべていた。
裁縫が苦手な人間からしてみれば、本を見たって作れない。
「さてと、和泉も来たことだしそろそろ行くか!」
「行く!!」
「早く行こう!」
三ツ谷先輩の言葉にルナマナちゃんは興奮気味に、早く行こうと急かすように言う。
この様子からしてかなり祭りを楽しみにしていたようだな…と見ながらふと思い出した。
「あ、三ツ谷先輩。コレ、遅れましたがお返しします…ありがとうございました」
「ああ、スウェット?」
「はい。返すの遅くなってすみませんでした…」
「別に気にしてねぇよ。ありがとうな…と、行く前に水分補給していけよ和泉。ここまで来るのに暑かっただろ?」