The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
そして一時期、青宗の事も憎んだ。
8代目黒龍の時にもいたのに、何故8代目の行いを止めなかったのかと。
挙句の果てに少年院にまで入ってしまった訳だし…今も、柴大寿の行いを止めない。
(青宗は、強い奴には逆らわない性格だからな……)
そしてあの時何も出来なかった自分も嫌いだ。
知ってて何もせず、ただ見ていただけで止めることさえしなかった。
「和泉……」
「ごめんな…。俺、そろそろ行くから」
「うん……じゃあな……」
歯切れの悪い言葉を聴きながらも背を向け、熱い明日アスファルトの上を歩いていく。
じわりと額に浮かぶ汗はゆっくりと頬をつたい、まるで涙のようだ。
その汗を舌で舐め取ればしょっぱい。
じわりと口内に塩味のようなものが広がっていくのを感じながら、大嫌いな実家へと歩いていればいつの間にか到着してしまい玄関の扉をゆっくりと開けた。
「ただいまかえりました…」
そう声をかけても返答はない。
もし返答があったとしても、相手は吉塚さんぐらいだ。
家は嫌ぐらい静まり返っているので、恐らく外出しているのだろう。
(でも暫くしたら帰ってくるかもしれないから…さっさと部屋に行くか)
広間から離れた自室へと向かいながら、長い廊下を歩いていく。
夕方まではまだ時間があるから、三ツ谷先輩の家に行くまで寝ていれば良いかと考えながら部屋に入るとそのままベッドへとダイブした。
「あ…家に行く時にスウェット返さなきゃ」
ずっと返せずに部屋に置きっぱになってる三ツ谷先輩のスウェット。
そろそろ返さないとな…と思いながら、ソファに置いていた袋に入ったスウェットを手にしてサイドテーブルに置いた。
「目覚ましセットして……それで、時間になったら、三ツ谷先輩の家に行って……」
なんて考えながら、睡魔がやって来てウトウトし始める。
そして視界が揺らいだぐらいから、プツンと意識が飛んでそのまま眠りについた。
ピピピッ ピピピッ
「ん……あっ。は…も、じかん」
携帯の目覚ましのけたましい音に意識が浮上して、目を開けば外の太陽のオレンジ色が部屋に差し込んでいた。
そして直ぐに寝ぼけていた脳が起きて、三ツ谷先輩とルナマナちゃんとお祭りに行くことを思い出す。
「そろそろ、行かないと…。髪の毛、ウィッグ付けて…眠っ……」