The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
唯一、地位や名誉に金を求めずに俺を欲しいと言ってくれたのは佐野先輩だけ。
だから東京卍會には入っても良いかもしれないと、そう思えたが……他のチームは有り得ない。
「悪いが話はそれだけか?それだけなら帰らせてもらう」
「神澤鳴海のように、黒龍を変えようという気はねぇのか?テメェは」
「………あ?」
「伝説のレディース総長、神澤鳴海。初代黒龍に入った事により内輪揉め等を静止させたと言われる女。お前はそんな従姉妹みたいにはなるつもりはねぇのか?」
此奴、揺らがすつもりか…。
鳴ねぇの名前を出してまでも、黒龍に入らせたいのかと思うと腹が立ってきた。
結局は利用しようとしている。
そして俺が鳴ねぇのようにできるという謎の考えを持っているのが1番嫌だ。
「悪いが俺は従姉妹のように人の揉め事を静止するのは好きじゃないんだよ」
鳴ねぇのような力は何も無い。
俺はそれ以上なにも言わずに柴大寿を睨め付けてから礼拝堂を出ていき、教会からも出て行った。
本当に腹が立つ。
利用しようとする奴も、俺を鳴ねぇと重ねる奴も全部全部大っっ嫌いだ。
「俺を、神澤和泉として見てくれる人はいないの…?」
ボソリと情けない言葉が出た。
まるで悲劇ぶってるような人間の言葉だな…と自分を嘲笑うかのような笑みが零れた時である。
「和泉っ!!」
「っ!?……青宗…。どうした?」
名前を呼ばれて肩を跳ねさせて振り返れば、走ってきたのか汗だくな青宗がいた。
そして申し訳なさそうに眉を寄せながら、口をモゴモゴさせている。
「その…悪かった……」
「え?」
「お前が、ああいうの嫌うの知ってて…ボスがああいう事言うの知ってて連れてきて……」
今にも泣きそうな子供のような顔をする青宗に思わず笑いそうになった。
だけど気にして走ってきてくれた事が、何処と無く嬉しいような気もする。
「大丈夫…慣れてるから。わざわざ走って来てくれてありがとうな?」
「いや……」
「悪いけど、青宗。改めて柴大寿に伝えといてくれ、俺は11代目黒龍には入らないってな」
「……そんなに嫌か?黒龍に入るのは」
「俺は、8代目の時から黒龍が嫌いだよ……」
8代目総長が、黒龍を変えてしまってから…。
大好きだったチームを嫌いになってしまった。