The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
ジーパンの裾を捲って、靴と靴下を同時に脱いでから足をゆっくりと海水に付ける。
生ぬるくでも冷たいという不思議な温度だが、不快な温度ではないのが不思議だ。
「生ぬるいですね…」
「気温があちぃからな」
「でも、奥行ったら冷たい…」
バシャバシャと音をたてながら、奥へと進んでいけばどんどん水は膝下までやってくる。
水の冷たさが伝わってきて、気持ちいいと思っていた時であった。
バシャッ!!と頬に水がかかり、目を見開かせる。
目をぱちぱちさせていれば、口の端から海水が入ってきて塩っぱい味が広がっていく。
口をモゴモゴさせながら唖然としていれば笑い声が聞こえた。
「くくっ…ふ、ははっ!!」
「三ツ谷先輩……?」
「今の和泉の顔、面白かったわっ…!くくっ!!」
楽しげに笑う三ツ谷先輩に、口元がひくっと動く。
何だかんだこの人も年相応のクソガキという訳だな…と思い両手を海水に付けて三ツ谷先輩に思いっきりかけた。
「三ツ谷先輩も面白い顔しますね…ふっ、…ふふっ」
水をかけられて俺と同じように唖然としている三ツ谷先輩に、笑いが込み上げてくる。
だってその唖然とした顔があまりにもマヌケなのだから。
「和泉〜〜」
「うわっ、悪い顔っ…」
「覚悟は出来てるよな?」
「自分だってかけたの、にぃ!?」
バシャッ!!とまた顔に海水がかかり、ニヤつく三ツ谷先輩が見えたがすぐ様仕返しと海水をかける。
そして俺も笑みを浮かべていれば次は三ツ谷先輩が口元をひきつかせていた。
「和泉、やったな!?」
「三ツ谷先輩だってやったじゃないですか!!!」
「待てコラ!!」
「いやです!!!」
水をかけようとしてくる三ツ谷先輩から逃げながらも、反撃したりと海水を跳ねさせながらはしゃぎまわる。
そうやっていると不思議と昨日のような苦しさや辛さが、すっ…と消えていた。
きっと三ツ谷先輩は気にかけて、海に連れてきてくれたのだろう。
ホント優しい人だなと思いながら、今はただただ楽しい事だけに集中した。
「服、濡れた……」
「まぁこの暑さだからすぐ乾くだろうなぁ」
「というか、海水でベトベトなんですけど。三ツ谷先輩が容赦なくかけてくるから」
「それは和泉もだろう?にしてもすげぇはしゃいだなぁ」