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The best happy ending【東リべ/三ツ谷】

第3章 8・3抗争


朝食は滅多に食べない。
親族と顔を合わせるのも嫌っていうのもあり、朝は食べるより寝ていたいという思いもあって。


「いただきます…」


手を合わせてから、香ばしい匂いがするトーストを手にした。
トーストの上には炒められたキャベツと目玉焼きが乗っていて、食欲がそそられる匂いがする。

トーストを1口齧れば、キャベツの甘みと塩コショウの少し辛めの味が口に広がる。
優しくて暖かい味が懐かしく感じる。


(美味しい……。暖かくて優しくて、昔を思い出す)


優しくて暖かい味は好きだけど苦手だ。
なんて思いながらパンを齧っていれば、三ツ谷先輩が隣に座っていた。


「口に合う?」

「はい。美味しいです…」

「なら良かった」


普段朝食は食べないとは言っていたが、たまに武道の家に迎えにいく時におばさんが食べさせてくれる時もある。
だが基本食べない事が多いけど…三ツ谷先輩のは毎日食べたいと思ってしまう。


「ルナマナ。今日お友達に家に行くのなら、途中まで一緒に行こうか」

「良いの!?」

「ママ、一緒に!?」

「うん。普段一緒にいれないからね…」


そう言いながら三ツ谷先輩のお母さんは、ルナマナちゃんの頭を優しく撫でていた。
嬉しそうに微笑む2人はやはりお母さんが大好きなのだろう。


(羨ましい)


ポツリと心の中で言葉を零す。
俺には無く、必要性も何も感じ無くなっていた母親からの温もりと好きという感情。


「和泉?どうかしたか?」

「いえ、何でもないです」


言える訳が無い。
羨ましいなんて…言えるわけが無いから、誤魔化すような表情を浮かべてまたパンを齧った。

朝食が終わると、ルナマナちゃんは着替えてからお母さんと共に出る準備をしていた。
それを見ていればふと三ツ谷先輩のお母さんと目が合う。


「和泉ちゃん。貴方が大丈夫なら、何時でもウチに来ていいし居ても良いからね」

「っ……ありがとうございます」

「それとさっき言った言葉なんだけど、ホントにしてもらったら嬉しいわ。あの子を、隆を好きになってくれたら」

「え……あ……け、検討させてもらいますっ」

「ふふ!ありがとう。隆〜、行ってくるね!」


好きになってくれたら…。
その言葉がグルグルと脳内に回っていて、何となく三ツ谷先輩の顔を今は見れない気がした。
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