The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
聞いて良いか。
その言葉は圧なんて篭ってなくて、俺の意志をちゃんと確認しようとしている。
どうしようかと悩んでいれば、両頬が三ツ谷先輩の両手に包まれていた。
三ツ谷先輩のシルバーパープルの瞳に、酷い顔をした俺が写っている。
「和泉が嫌なら、別に大丈夫だ。でも辛そうな顔してるから…誰かに話した方が楽になるんじゃないかって思ったんだ」
「………俺、3年前に犯されかけたんです」
「……犯されかけた」
ポツリポツリと呟いた。
3年前に起きた事を、濁しながらではあるが話したいく。
親族に3年前に無理矢理犯されそうになってから、無理矢理押し倒されたりキスをされそうになると拒否反応が起きる事を。
そして、親友と思っていた人物に好きと言われてそれが信用出来ないと伝えたら押し倒された事。
無理矢理キスをされた事で拒絶反応が起きたのを。
「男性恐怖症にはならなかったんですけど…どうも無理矢理押し倒されりそういう事をされそうになると拒否反応が起きてしまって…」
「触られるのは大丈夫なのか?俺、結構触っちまってたけど…」
「それは大丈夫です。信頼というか、俺が大丈夫って思ってる人なら触られても平気なんです」
「今、抱きしめていい?」
「え?いや、汗臭いでっ!!??」
汗臭いですよと言う前に、抱きしめられた。
目の前には三ツ谷先輩の服の生地が広がっており、そして彼の匂いと微かな汗の匂いが鼻腔を擽る。
力強くてでも優しい温もり。
何も嫌な気分はしなくて、何処か安心を覚えてしまう腕の温もりだ。
「大丈夫そう?」
「はい……」
「タケミっちが、病院に運ばれた時もそうだけど…苦しそうな顔してるの自分で気付いてねぇよな。和泉は」
そう言いながら三ツ谷先輩は俺の頭を撫でてくれる。
優しく優しく、まるで小さい子にするように頭を撫でてくれていた。
「俺は大丈夫か?こうし触れても」
「……はい。大丈夫です」
本当にこの人は不思議だ。
なんとか大丈夫と自分に言い聞かせながら、心が揺れないように保っていた筈なのに。
この人の言葉一つ一つで泣きそうになってしまう。
「三ツ谷先輩って、ホント変な人ですね…」
「それは…どういう意味なんだ??」
「少なくともバカにはしていませんよ」
「少なくともってのが、引っかかるんだけどなぁ」