The best happy ending【東リべ/三ツ谷】
第3章 8・3抗争
そして、和泉は1人暗闇の公園にいた。
あれから何処を歩いていたか、どんな道を通ったのか彼女は分からず目に付いた公園のブランコに座り込んでから俯いて唇を噛み締めていた。
「青宗のバカっ……アホっ」
小さく覇気の無い声でそう呟く和泉の表情は、泣きそうであった。
何せ冷たく当たってはいたが、イヌピーは彼女にとって大切な仲間であり昔馴染み。
あんな事があった後だと顔を合わしづらい。
なんならもう、会えないかもしれない…何せ彼が伝えてくれた気持ちを自分は踏みにじったから。
(好きって気持ちは本当かもしれない。でも…それが信用できない……。利用されてるって思ってたら、その言葉さえ拒絶してしまう……)
これからどうしよう。
そう考えるも、脳裏にチラつくのは忌まわしいあの記憶であり和泉は唇を噛み締めた。
「和泉?」
「………三ツ谷、先輩っ…?」
そんな時であった。
優しく低い声が聞こえて、俯かせていた顔を上げるとそこには三ツ谷の姿があったのだ。
「………どうした?こんな時間に」
「あ、えっと…」
何て言えば良いのだろう。
そう考える和泉の目線はまた下へと下がっており、それを見かねた三ツ谷は眉間に皺を寄せながらもブランコへと近づく。
そして彼は和泉の前にしゃがみ、顔を覗いた。
美しく彩られているシルバーパープルの瞳は、優しく和泉を写している。
「なんで、三ツ谷先輩もこんな時間に?」
「ん?オレは用事があって場地の家に行ってて、その帰りなんだ」
「そう、なんですね……」
「………触れても良いか?」
優しく微笑みながらそう聞いてくる三ツ谷に、和泉は大きく瞳を見開かせた。
何故そんな事をわざわざ聞いてくるのだろうと。
「なんで…そんな事をわざわざ聞くんですか?」
「気付いてねぇかもだけど、和泉…泣きそうな顔してるんだ。それに何処か拒絶してる目をしてるから…触っても大丈夫か聞いたんだ」
「………大丈夫、です。三ツ谷先輩なら」
「ん、ありがとうな」
和泉の言葉を聞いた三ツ谷は、ゆっくりと手を伸ばしてから彼女の頬に手を添える。
触れた瞬間、和泉の体がビクッと跳ねて力が入っていたが直ぐに抜けていた。