第10章 愛、憎悪、殺意<壱>
(技を出せ、技を・・・、血鬼術が使えぬ・・・!!)
身体がどんどん崩れ、ついには刀すら握れなくなっていく。
(まだだ、まだ再生できるはず?まだ、負けではない。私は、まだ)
黒死牟が顔を上げた瞬間、光のような物が真っ直ぐに彼の眉間に突き刺さった。
目をうごかしてみれば、それは銀色に輝く一本の懐剣。
その先には、投げた姿勢のまま、青い髪を靡かせて立つ汐。
(その懐剣を、何故お前が・・・)
しかし黒死牟がその問いを口にする前に、頸が汐によって切断された。
(頸を落とされ、体を刻まれ潰され、負けを認めぬ醜さ)
生き恥
こんなことのために私は、何百年も生きてきたのか?
負けたくなかったのか?醜い化け物になっても
強くなりたかったのか?人を喰らっても
死にたくなかったのか?こんな惨めな生き物に成り下がってまで
(違う、私は、私は、ただ)
縁壱、お前になりたかった。
(そして・・・)
汐の姿が、長い髪のワダツミの子、みおに変わる。
みお、お前に感謝と想いを、伝えたかったのだ。