第1章 はじめまして ここは何処ですか?
この【壁内の王都の地下街】と初めて耳にした世界に 私の帰る所は無くただ水溜まりを眺めていた
「カナコ行くぞ…」
頭にリヴァイの右手が乗りクシャっと撫でられた
「何処に?」
「それはもうただの水溜まりだ 取りあえず今日は帰るぞ… 俺が手を掴まなかったらカナコはこんな世界に来なかったのかもしれねぇからな 面倒みてやる」
「あ…ありがとうーー!お姉ちゃん嬉しい!!」
ギュッとリヴァイに抱きつくと私の頭は彼の肩に当たり 自分の体の小ささを実感した
「…何度もいうが 俺は男の子じゃねぇ 歳は15だ!」
「私は18だよ? 今は小さくなってるけどさっきまでは175cmあったんだから!」
信じられねぇ そんな心の声がありありとリヴァイの顔が言っていたけど 何も言わずに私の手を引いて歩いていく
その間にリヴァイの世界の話をしてくれた
人類は【マリア】【ローゼ】【シーナ】と名前のついた三重の壁に囲まれた世界で生きていて 一番外側の壁【マリア】は3200kmもある
その壁外には巨人という怪物が存在して人間を襲い生きたまま食べるらしい
壁外の人類は巨人に食べられてしまい絶滅している
今いる鍾乳洞は一番内側の【シーナ】という壁に守られている王族や貴族がいる上流階級が暮らす町の下にある地下街らしい…
壁外に行く事や王族が支配しているこの壁内の安全を脅かす思想や発明などは厳しく制限されているらしく 私という存在が知られるとかならず憲兵団に捕まり処分される
「 壁内のルールを覚えるまでは絶対に家から出さねぇからな 俺の身も守る為の条件だ」
私にはこの世界の事は何も分からない
だからリヴァイが言うのならそれに従う事にした
鍾乳洞をかなり歩いてから地下街が見えてきて 鼻につく臭いが漂う 空気もよどみ また咳がケホケホと出だした
「これが俺のいる街だ」
アニメとかで見る異世界は自然豊かでみんなが笑顔で主人公は何かしら能力を授けられてるんだけどなぁ…
下水の臭いに土埃で淀んだ空気 街の人の目もどこか虚ろで不安しかない
唯一リヴァイが繋いでくれている手が私には 蜘蛛の糸 のような気がしてギュッと強く握りしめた