第3章 からだと心
「へぇ…あんた珍しいな」
ずれていたウィッグを取られた
黒髪に黒い瞳 彫りの薄い東洋人顔を見られ 目の前の銀髪の男は少し驚いていた
「は…離して…」
直ぐにフードを被り直したいけど荷物があるのと彼の距離も近くてままならない
どうしよう見られた…
リヴァイの名前を言ったけど 知り合いなの? でもジルのような知り合いではない気がする…
どちらだと言えば金になるならなんでもする方の知り合い…
「3ヶ月くらい前にさ この路地でリヴァイに殺されかけた男だよ」
殺せば次に襲われる事はない
リヴァイの言葉が頭に浮かんだ
5年しか地下街で生きてないくせに…
リヴァイから守られてたくせに…
どうして私はリヴァイが言った事を守らなかったんだろう…
私は利用されるのだろうか…売られるのならまだいい リヴァイへの復讐の為に利用されるのは絶対に嫌だ
どうにかしないと…と考えてみても逃げる為には動かないといけない
でも足がすくんでいるし 腰もぬけそうなのを必死で堪えるに精一杯だった
挑発的に笑っていた彼の目が一瞬鋭くなり表通りの細い階段を見てから 私を見つめる
「黙ってろよ…声を出したらどうなるか知らねぇからな」
脱がしたフードを私の頭に被せて彼の顔も一緒にすっぽりと隠れた
壁に押し付けられてマントの合わせから手が入ってきた
頬が触れるほどに顔が近い 耳に彼の唇が触れた
「震えてんな…でもこのままでいろよ」
「オイ!こんな所で盛ってんじゃねぇよ!女を抱きたきゃ この先に連れ込みできる宿があるだろ!」
「いい足をした女だなぁ…後で貸してくれるか?」
いつの間にかスカートをたくしあげられていて太腿を撫でられていた
「悪いねぇ…久しぶりに可愛い女と逢えたから我慢がきかなくてさ…」
太腿から手が離れてスカートが下がり私の足が隠れた
彼は足元に落ちた眼鏡を拾い フードの中に手を伸ばして掛けてくれた
「ごめんな…驚かせたな」
私の頬に触れた指は優しかった
「だからイチャイチャするな!」
「あぁ…家でゆっくり可愛がるよ 悪かったな」
「行くぞ」と私の手から荷物を取り上げて肩を抱きながら表通りへと歩いた