第1章 はじめまして ここは何処ですか?
バスは1時間に1本位しかない
近所に小さなスーパーとホームセンターがあり日常生活には困らないけど
大型ショッピングセンターはバスで1時間かかるし テレビのCMとかで見るコンビニもバスで45分かかる高校の近くにやっとある
そんな自然豊かな田舎に私は住んでいた
はず…だったよね?
ちょっと待って! 私何かした?
「何だ…お前は…」
私は仰向けに倒れていてしかも馬乗りになっている男の子から見下ろされている
ちっさい…12歳…くらい?
軽くパニックな私は何も言えずに目が泳ぐ
今度は私の顔の横に両手をバンと置いて鋭い三白眼で睨まれる
壁ドンーーー!いや…壁じゃなくて地面だから…なんて言うのかな
しかし人生初めてのドンが子供かぁ…目付き悪いけど可愛らしいな…
フフフッ
つい頬が緩む 児童館に来る子供にもいるんだよね大人びた事をする子が…
さっきまで児童館での折り紙教室のバイトで相手にしていた小学生達を思いだして笑っていまう
「ねぇ僕…お姉ちゃんの上からどいてくれないかな?」
目付きの鋭い男の子の頭を撫でようと手を伸ばした…
自分の視界に入る自分の右手が白くふっくらとしていて小さい…
いつも見ている手はふっくらとなんかしていない
身長が175cmあって手足が長い私の手はもっとすらっとしている
「ねぇ…僕…お姉ちゃんの手…小さくない?」
「手だけじゃねぇ…体も俺より小せぇだろうが!」
地面についていた手が私の胸ぐらをつかみ体を持ちあげられ 今度はうつ伏せに倒されて後ろ手に捕まれた
「水溜まりから突然現れやがって!お前は何なんだ!」
「わっ私は…山内加奈子(やまうちかなこ)…18歳の女の子だよ…」
後ろ手をギリギリと背中に押しつけられて痛みで息が吸いづらくてヒュッと強く吸ってしまい 地面の土が気管に入り込んで激しく咳き込んだ
「チッ…」
舌打ちが聞こて私の手は自由になり体にかかっていた体重がなくなった
軽い喘息もちの私はしばらくは咳が止まらず体を折り曲げて喉の奥がヒューヒューと鳴った