第15章 囚われていた鳥達
壁外調査に出発する日の朝 リヴァイの首に万華鏡のペンダントを掛けた
リヴァイは私を抱きしめて「甘い」と言う私の匂いを吸う それから頬を撫でると顔を少しだけ上げるから 私は屈みリヴァイにキスをした
見送りも何度目になるんだろう―…兵団施設を出ていくみんなの後ろ姿が小さくなると毎回涙が出てしまう
「カナコいつも泣いてたの?」
隣にいるジゼルがヨシヨシと頭を撫でてくれた
ジゼルは訓練中に落馬して肩を痛めてしまった 足手まといは皆の命まで危険にさらすから… と今回の調査は自ら上官に言って行かない選択をしたらしい
残った団員達の仕事はこれからで 1週間ほどで帰還する予定だからそれまでに迎える準備を始める
ジゼルと別れて医療棟に行くと アリソンがテキパキと指示を出していた
「カナコ今回も軽症者をよろしくね それと洗濯!」
「地獄の洗濯――了解です―…」
大量に山積みされた隊服と腰痛と筋肉痛を思い出し 地獄と言う言葉が思わずでてしまう
アリソンも「確かにあれは地獄だわ」と言うから2人で笑った
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帰還の鐘が昼を過ぎた頃に鳴り響いた
施設内はたちまち忙しくなる 私も軽症者の治療で走り回っていると 地鳴りの様な大きな音と揺れを感じた
窓はガダガダと音をたて天井から吊るされた照明がゆらゆらと揺れている
地震だと一瞬身構えたけど揺れはそんなには続く事はなくてホッとした――…瞬間
ドーン
大きな音と共にまた地面が揺れる
地震とは違う音と揺れに思わず広場に飛び出して音のした方…外門を見ると おびただしい蒸気のような白い煙がモクモクと上がり
50mはある壁の上から禍禍しい顔がのぞいていた
「え―……あれは――……」
禍禍しい者に驚き見ていたら 白い煙の中から何かが飛び出してこっちに飛来していた
それが壁の破片だと気付いたのは 飛来物が落下して建物が次々と破壊されたのを見てからだった
「カナコ!!」
唖然として見ていた私の腕を 一緒に軽症者の処置をしていた ジゼルが強く引っ張った
「外門が突破された!!早く逃げて!」
嘘みたいな光景に私はただ立ちすくむ事しか出来なかった