第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん
「私、ライブに参戦するのは好きだけど、積極的に声を出したり、アピール…ていうのかな?そういうのは苦手だからさ。大好き!って気持ちを手紙に書いていつもプレゼントに入れてるんだ」
毎回同じ紙袋とシールを使うのも、手紙に名前を書くのが恥ずかしくて出来ないがためのせめてものアピールだ。
ヘラリと笑いながら蜜璃ちゃんの顔を見ると、蜜璃ちゃんは先ほど驚きの声を上げた時以上にその瞳を大きく見開き、その小さな口を(あんなに食べるのに何故?)両手で塞いでいた。
…不味い…引かれちゃったかな…
「…ってごめんね!ちょっと気持ち悪いよね…」
苦笑いを浮かべながらそう言うと
「…っそんなわけないじゃない!私達すずねちゃんのこと大好きだもの!」
蜜璃ちゃんは慌てた様子でそう言った。一方の私は、頭の中が疑問符ですっかりと埋め尽くされてしまい、ただ無意味な瞬きを繰り返していた。
…え?…”私”じゃなくて…”私達”ってことは蜜璃ちゃんてやっぱり…☆HASHIRA☆の関係者ってことだよね…?
「すずねちゃん!少し待ってて!」
蜜璃ちゃんはそう言うと、テーブルに置いてあったスマートフォンを引っ掴み、店の外へと出て行った。窓越しに蜜璃ちゃんの様子を見てみると、興奮した様子で誰かと電話をしているようだ。
…スタッフさんだったら…前回と言い今回と言い、ライブ直前にこんなところでのんびりしてる暇ないはずだよね…ということはメンバーの家族?友達…もしくは恋人とかかな?
そんなことを考えている間に電話を終えた蜜璃ちゃんがはしゃいだ様子で戻ってきた。
蜜璃ちゃんは席に座り、ストローに口をつけアイスミルクティーを一口飲むと
「すずねちゃん!今日ライブ終わった後、時間ないかしら?」
目をキラキラさせながらそう尋ねてきた。
「ライブの後?終電に乗れさえすれば平気だけど…」
「やったわ!あのね、すごく残念なんだけど、今日のライブも、私一緒にはみられないの!でも私、絶対すずねちゃんと今日のライブのお話をしたいの!だから、ライブが終わったら、ライブハウスの外で待ち合わせしましょう!」
その意味深な言い方が、やはり蜜璃ちゃんはただのファンではなく、☆HASHIRA☆となんらかの関係があることをはっきりと示しているようだった。
