第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん
無事に連絡先を交換し店員さんが持ってきてくれたワッフルに舌鼓を打っていると、同じくワッフルを物凄いペースで食べていた蜜璃ちゃんが
「…っ私ったら!こんな呑気にワッフルを食べている場合じゃないわ!」
と、その愛らしい鮮やかなグリーンの瞳を大きく見開きながらそう言った。突然そんなことを言い出した蜜璃ちゃんに、どうしたのだろうかと手に持っていたマグカップを一旦置く。
「どうしたの?何か用事があったのでも忘れてた?私の事は気にしなくていいから、気にせずそっちに行って?」
そう言った私に、蜜璃ちゃんは首を左右に大きく振った後
「違うの違うの!私が用事があるとかじゃなくって、すずねちゃんに聞きたいことがあったの!」
テーブルにガタンと両手を着き、半ば立ち上がるような姿勢になりながらそう言った。あまりのその勢いに呆気に取られてしまう。
「っやだやだ!私ったら…お店で騒いだら駄目よね。落ち着かないと」
蜜璃ちゃんはポポポと頬を赤く染めながらゆっくりと椅子に腰かけた。
「大丈夫?私に聞きたいことってなぁに?」
左に軽く首を傾けながらそう尋ねると、蜜璃ちゃんは左右に視線を漂わせ、その後何かを決心したかのような表情で私の顔をじっと見つめてきた。
「この間のDEMONでのライブの時、すずねちゃんプレゼントボックスに薄紫色の紙袋に、手紙とハンドクリームを入れなかったかしら?」
「そうそう!私、あんまりプレゼント選びのセンスがないから、いっつも同じにしてるの!前に天元さんがSNSで手荒れが気になるって言ってから。無香料で、香りに拘る人にでも使えるようなやつ!」
もっと他にいいものがあるだろうとは毎回思うのだが、毎回どうしようか悩んで、結局は同じものをプレゼントしていた。
それに私にとって重要なのはどちらかと言えば、プレゼントではなくファンレターの方だ。SNSで”もらった手紙はすべて目を通してる”と本人が言っていたことがあるので(ファンを喜ばせるためだけのリップサービスかもしれないが)、前回参戦したライブの感想、歌詞の感想、曲の感想、そして私がいかに☆HASHIRA☆の奏でる音楽、そして天元さんの歌声が好きかを鬱陶しいくらいに書き連ねさせてもらっていた。