第35章 約束
ほの花を部屋から追い出して、餓鬼どもに女用の着物を着せて適当に化粧を施してやると俺はガックリと肩を落とした。
「……お前ら、売れんのか….?」
目の前にいるのはとんでもない仕上がりの三人。
雛鶴達は何の問題もなく売れた。それは当たり前だ。
比べるのも烏滸がましいとは思う。コイツらは男だしな。
だがそれにしたって…
「…ブッサイクだな、おい。」
「そうは言われましても…俺たち男ですし…」
「…まぁ、そうだよな。仕方ねぇわ。上手く取り入って売れろ!いいな。」
二束三文でも売れたら内側に入れる。まずはそこからだ。入れなければ意味がないのだ。
コイツらが売れるかどうかは俺がゴリ押ししてやるしかねぇのか。
(…チッ、面倒だな)
肩を落として三人を見つめていると「もう入って良いですかー?」と言う声が襖の外から聞こえてきた。
あまりの仕上がりにうっかり失念していたが、そうだった。
ほの花がいたのだ。
最悪、アイツを囮にしてコイツらを売り捌くことを急に思いついた俺はほくそ笑んだ。
「おー、入れ。」
しかし、俺は何故ほの花の支度が終わる前にコイツらを連れてさっさと出発しなかったのかと後悔でいっぱいになった。
せっかく部屋の外に追い出したのだから置いていけば良かったのだ。わざわざ此処で待っていてやる必要はなかったのに。
入ってきたほの花がいつもよりばっちり化粧を施されて、町娘のような綺麗な着物を身につけて結い上げられた髪のせいで頸が露わになっていた。
あまりの美しい出立ちに俺は放心状態で、口を半開きにするしかない。
「わー!ほの花!可愛いよぉおおおおっ!!俺のため?!俺のためなんだね?!ありがとうーーーー!!」
「え、いや、え…?ぜ、善逸…?あ、え?!炭治郎に伊之助まで…?!何、その格好…」
コイツらの"仕上がり"に固まるほの花に纏わりつく黄頭に釣られるようにわらわらと近づいていく残りの二人を見ると、やはり面白くない。
潜入のためとはいえ、此処までされてしまうとコイツが最初に売れてしまうのは関の山。
何とかして対策を考えなければいけない。
(…コイツは…売らねぇ。)